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好ましい改装:ピカソ美術館

ロラン・シムネ、1985年、パリ

Picasso Museum ,Roland Simounet

スロープが効果的に上下階を結んでいる。光沢のある塗り壁が新鮮な趣きを醸し出す。

地下部分の展示室。ライムストーンで出来たヴォールト天井が美しい。オリジナルの建物の雰囲気を極力壊さないようにしている。

新たに加えられたヴォールト天井の照明。

 パリのピカソ美術館はマレ地区の路地裏にひっそりとたたずんでいる。17世紀に建てられた塩の館と呼ばれる建物の転用で、主としてピカソがパリに移り住んでからの作品が展示されている。古い建物を改装して美術館にした例は数多くあれど、これほど手を加えたということを感じさせない自然な改装は少ないと思う。改装だとかそういうことを意識させず美術館として心地よい落ち着けるスペースとなっているのがいい。かといってデザインの新しい指向性がないかというとそんなことはなく、スロープを導入したり細かいレベルの変化を加えて、古典的なスケルトンに構成的な空間をうまく挿入しているし、開口の開け方なども現代的なコンポジションを加えている。光沢のある塗り壁など素材の使い方も新鮮である。

 地上階はかなり手を加えられ、モダンなインテリアに改装されているが、地下部分はオリジナルの建物のライムストーンの躯体の美しさを生かしたインテリアとなっていて、ピカソの作品を年代順にめぐっていくにつれ、自然に空間が変わっていくようにしつらえられている。

 建物なんていうのは所詮ハコであって、大事なのは人であり、展示される作品の方である。そういう意味で節度をわきまえた改装のやり方に好感を覚える建物である。

スリット状の開口と照明。

光天井を持つエントランス脇の展示室

外観はほとんど古い建物のまま。

裏庭へ通じる出口。木枠をうまく使っている。

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